アクロレイン労働災害

こんなお話があります。
●産経新聞 2017年10月13日の記事です。

広島県廿日市市の大手外食産業の店舗で勤務していた男性社員(55)が、周囲からのパワハラなどでうつ病を発症したとして、9月に廿日市労働基準監督署へ労災申請していたことが男性への取材で分かった。
申立書などによると、男性は平成26年秋から29年2月まで、廿日市市の同店舗で勤務。27年ごろから、数日間使い続け酸化した調理用サラダ油により、吐き気や頭痛などの健康被害を受けたと主張。上司らに改善を求めると「頻繁に交換していたのでは利益が出ない」と拒否されたという。
また同時期、上司や同僚から「頭がおかしい」「体調が悪くなるのはあなただけ」などと暴言を吐かれたり、中傷されたりするなど、日常的にいじめや嫌がらせがあり、精神的苦痛を受けたとしている。男性は今年3月に「うつ状態」、4月に「うつ病」と診断された。3月に本社へ異動したが、その後体調悪化のため休職。健康な心と体を返してほしい」と訴えている。

以上の事象は調理時のフライヤーから発生したアクロレインによる「油酔い」によるものです。

東京工科大学の遠藤教授が2013年に「油酔い」の原因物質である「アクロレイン」が、油脂中のリノレン酸が空気中の酸素により酸化されて生じるヒドロペルオキシドがさらに高温で酸化を受けた後、分解して「アクロレイン」が生じることを初めて証明されました。

多くの外食産業では、従業員のアクロレインに起因する「油酔い」の訴えに、管理者・経営者は、原因を解明せず、仕方がないと一蹴しているのが現状であり、労働者の安全を考えたとき、早急に解決されなければならない問題であると思います。EU(欧州連合)の中央労働災害防止協会が理事会の命令基準として、8時間当たり被爆量を0.02PPM以下と定めていますが、現在この基準は日本では、まだ適応されていないのが現状であります。